1.第56回全国大会のご案内(8.6更新)
第56回全国大会を以下の日程にてハイブリッドで開催いたします。
日時:8月23日(土)、24日(日)
場所:福島大学行政政策学類棟2階大会議室
以下の大会参加申し込みフォームに必要事項をご入力ください。
なお、ご欠席される方は総会委任状のご協力を何とぞお願いいたします。
皆さまのご参加をお待ちしております。
https://forms.gle/bZGQRQ4yMXQPYiDk7
日程:
☆8 月 22日(金)大会議室
13:00-16:00 大会実行委員会、運営委員会(各委員のみ)
★23日(土)大会議室
12:50-13:00 会長挨拶、連絡事項
13:00-15:00 個人研究発表
水戸俊介「ポーと/のメランコリー――バラッドの「アナベル・リー」」
15:00-15:15 休憩
15:15-16:45 総会
17:30-19:30 懇親会(場所は未定)
★24日(日)大会議室
10:00-12:00 シンポジウム E・M・フォースター『ハワーズ・エンド』研究
司会:高橋大樹
〈基調講演〉
浦野郁(光文社文庫版『ハワーズ・エンド』訳者)
「『ハワーズ・エンド』をもう一度――新訳刊行に込めた思い」
〈基調報告〉
三村尚央「フォースターのリベラリズムを再検証する――『ハワーズ・エンド』の「失敗」の美学を読み直す」
板谷洋一郎「『ハワーズ・エンド』における非嫡出子・精神障害の問題―ヘレンとその子をめぐって」
12:00-13:00 昼休憩(弁当は各自用意)
13:00-15:00 シンポジウム(続き)
15:00-15:10 休憩
15:10-15:30 反省会
発表概要
『ハワーズ・エンド』をもう一度――新訳刊行に込めた思い
浦野 郁
本年一月に光文社から新訳が刊行されたE. M.フォースター『ハワーズ・エンド』について、訳者としてまたフォースター研究者の立場からお話をさせていただく。まず新訳に込めた思いや翻訳の工夫、苦労などについてお話した上で、百年以上前に書かれた本作品を今読むことの意義を、フォースターに影響を受けた現代の作家や作品を紹介しながら探っていく。時間に余裕があれば、実際に今年から演習授業で本作品に触れている学生たちの反応も伝えたい。
「フォースターのリベラリズムを再検証する――『ハワーズ・エンド』の「失敗」の美学を読み直す」
三村尚央
本報告では、『ハワーズ・エンド』で展開されるリベラリズムの思想を再検証する。「ただ結び合わせることさえできれば」というエピグラフに象徴される理想は、実際にはことごとく「失敗」するものとして描かれる。それはまるで、そのような試みは、今生ではけっして成功することはない、という諦念にも見える。本報告では、フォースターの「リベラルさ」をめぐる先行研究の議論も参照しながら、彼が20世紀初頭に『ハワーズ・エンド』で検証した思索の可能性を、現代において引き継いでみたい。
『ハワーズ・エンド』における非嫡出子・精神障害の問題―ヘレンとその子をめぐって
板谷洋一郎
『ハワーズ・エンド』で婚外子として生まれるヘレンの子は、継承やつながりといった観点から論じられることが多い。そうした批評において、ヘレンの子は、ときに最終場面が喚起する牧歌的情景も含め、階級や価値観の異なる人々をつなぐ架け橋的存在とみなされている。そのような見解は受容可能だとしても、やや不可解な点が残る。ヘレンがハワーズ・エンド(イングランド)にとどまり、彼女の子が邸宅を継ぐことが描かれるのは最終章においてであり、その直前まで彼女は自発的国外居住者としてドイツで暮らすつもりだった点である。ハワーズ・エンドに誘導され、マーガレットと再会したとき、ヘレンはなぜ自分はイングランドに住めないと言うのだろうか。彼女の発言の背景には何かしらの社会的事情があるのだろうか。本稿では、20 世紀初頭のイングランドにおける非嫡出子の問題と、優生学が社会に浸透するに伴い、取り沙汰されるようになった精神障がい(当時は精神薄弱)の問題を取り上げることで、婚外子を懐妊したヘレンがイングランドに残れない、自分は許されないだろうと言った背景を考察し、フォースターがヘレンの子供に託した思いを改めて推し量りたい。
2.大会個人研究発表者募集のお知らせ
8月23日(土)に行われます個人研究発表をご希望の方は曽良裕美子までご連絡ください。
よろしくお願いいたします。