10月例会は、「白熱した」議論で、充実した議論で終了しました。
参加してくださったみなさん、お疲れ様でした。
最初の発表は、大貫さんによる Raymond Williams, Modern Tragedy 解題 -- “Modern,” Revolution, and Culture.
ライオネル・トリリングらの同時代知識人や、政治的コンテクストを大きく意識した議論を展開し、綿密なWilliams 解題も含め充実した時間になりました。
つづいて、『カスターブリッジの市長』についての高橋さんの発表は、ヒリス・ミラーの2004年の論文に触れつつ、ともすれば “old-fashioned story teller”とされがちなThomas Hardy を、realismとの関係性によって再定義し、そこに異様さや不条理さの光る作品としての魅力を、ひいては、tragedy としての様相を読み解こうとした意欲的な発表でした。
フロアーからの議論も、真摯な疑問や質問にはじまり、「悲劇論再考」としたこの例会の企画意図を問い直す視点で、盛り上がりました。
また、absurdity, anti-realism, tragedyといった芸術概念が、具体的時代性(個人・市場・社会)に対して、どんな位置関係にあるのかを巡っては、様々な立場から議論が交わされ、知的緊張感を味わえる時間になりました。“涙つたう悲劇”としてのtragedyとしてではなく、社会の中での断絶状況に粘り強くつきあう方法としてのtragedyが見えました。
次回11月例会を楽しみにしたいと思います。